インテリアのリネン、そしてソーイングのリネン。よもやま話のあれこれをご紹介します。今回のテーマは素材について。麻といっても実は色々あるんです。
■ 1 麻の種類
みなさんは「麻」といえばどんなものを思い浮かべますか。 夏用の和テイストの服、細かな目のハンカチ、麻袋、麻のひもで編まれたバッグ、麻のシーツ。ずいぶん風合いの印象が異なる感じがしますよね。
それもそのはず。同じ「麻」と呼ばれても、まったく異なる種類の植物からとれる繊維でつくられているのです。
茎を利用するリネン、ラミー、ヘンプは長い繊維がとれるので、しなやかな糸を紡ぐことができます。そのため、洋服やシーツなどの肌に触れる製品をつくるのに適しています。
日本では、衣料品の品質表示で「麻」と表示できるのは「リネン(亜麻)」と「ラミー(苧麻)」だけなのです。
■ 2 リネン、ラミー、ヘンプ
日本では、衣料用としてリネンとラミーが使われてきました。ラミーの特徴は、リネンよりもシャリ感が強いこと。ラミーは、夏らしい涼しげな演出ができる一方で、ときにチクチクする感じが欠点ともなります。
リネンでは切れてしまい達成できない細さも、より繊維の長いラミーでは細い糸を紡ぐことが可能です。糸が細ければ、薄手の生地を織ることができます。とても薄手のハンカチで麻表示のあるものは、ラミーであることが多いようです。
またラミーの糸のほうが切れにくいので、生地を織る工程も容易で効率がよく、リネンよりもかなり低い価格を設定することができます。
■ 3 繊維の構造
ラミーとヘンプは繊維の太さのばらつきが大きく、そのため、ざらつきやチクチクした感じがあります。その風合いを生かして、ざっくりとした麻袋や、夏向きの衣料などに用いられます。