マホガニー コンソールデスク
家具のお話

マホガニー コンソールデスク

アンティーク家具に使われる木材は大きく針葉樹と広葉樹に分かれます。針葉樹の木目は通直で組織はシンプル。パイン材を含め英語でSoft Woodと呼ばれる針葉樹はその名の通り柔らかく加工がしやすいのが特徴です。その分、外圧に対してもろいところがあります。また反りや捻じれが出やすいといわれ、装飾を施すのには適しておらず、針葉樹でできた家具は総じてシンプルなデザインのものが多い傾向にあるといえるでしょう。

一方、広葉樹は針葉樹とは逆にHard Woodと呼ばれ、複雑な組織構成をしています。広葉樹は硬いのでさまざまな形状に加工が可能ですが、その中にもそれぞれ固有の特色があります。例えばオークは導管が太いので、その分木目が粗くなり、デリケートな装飾を施すのには向いていません。目の細かい生地はきれいな刺繍を刺せるけど粗い生地にはできない、と言えば分かりやすいでしょうか。

高級アンティーク家具に用いられる木材の代表といえばウォルナットとマホガニー。ウォルナットは綺麗で複雑な木目が特徴なので、その模様を活かしたデザインが主流です。例えばブックマッチ(同じ原木から製材された板を、本を広げたように左右対称になるように接ぎ合わせて扉などに用いる手法)などが有名です。

マホガニーは木目に特徴はありませんが、あまり硬くなく粘りがあり、また導管も細く、きめ細やかな木理(木の質感)が象嵌細工や木彫に向いているため、古くからデコラティヴな高級家具に使われてきました。

イギリスでは貴族がお抱えの家具職人に手の込んだ装飾を施した家具を作らせ、自身の権力を誇示したと伝えられていますが、職人たちは家具の依頼がきたら加工しやすいマホガニーを真っ先に思い描いたに違いありません。

残念ながらヨーロッパ産のマホガニーは20世紀前半にほぼ伐採されてしまい、現在流通しているのは東南アジア産のものになります。ヨーロッパ産のものはインドネシア産ほど赤みが強くなく、上品な橙赤色をしていて、得も言われぬ気品があります。

今回、紹介するマホガニーのコンソールテーブルは推定1930年代のもの。まだヨーロッパ大陸で採れたマホガニー材でつくられたものです。オレンジがかった品のあるマホガニーの色合いを感じ取っていただけると思います。

これからアンティーク家具を見る機会があったら、木の材質を気にしながらその作りやデザイン、年代を見るのも面白いと思います。

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