今回紹介するのは1911年に創業したイタリアの家具ブランド、ビリアーニ社のクロワッサンチェアです。イタリア東北部の「椅子の町」ウディネ(ダイニングチェアメーカーが多いことで有名だそう!)で生まれました。
ひときわ目にひく背もたれの形が名前の由来なのでしょう。柔らかなラインと存在感のある背もたれが絶妙なバランスを取ることで、高級感を損なわないやさしさを演出しています。
脚部の交差した貫が描く滑らかなフォルムからもシンプルなのにシャープすぎない、均整の取れたデザインが伝わってきますね。
両サイドまで回り込んだひじ掛けは一見ラウンジチェア(寛ぎ椅子)のようにみえますが、座幅が500mmもあるので座っていても身体に触れることはありません。
ラウンジチェアに座った時のようなホールド感はありませんが、動きの自由度が狭まることはなく、ダイニングチェアとして無理なくご使用いただけます。
また、ひじ掛けの先端が(地面に対して平行ではなく)下がっているので、肩の力を抜いてひじをかけられるのもポイント。立ち上がるときやテーブルに寄せる時も役に立ちます。
座面は張り込みで柔らかくクッション性が高いので、食後もゆっくりダイニングテーブルを囲んで過ごす時間が増えそう。
張り替えに選んだのは、ベルギーリネンのブランドLIBECOの生地。光沢感のあるモスグリーン、縦糸がブラックで横糸がフラックスのブラックモザイク、モダンでシャープな印象のブラックと、深くて上品なブルーが特徴のネイビーの4色展開です。
表情豊かなテキスチャーがモダンなデザインに落ち着きのある雰囲気を添えています。
身体の緊張をゆるめながらも集中したいときや、ストレスなく神経を研ぎ澄ませたいとき、たとえば、読書や音楽鑑賞を楽しむときにうってつけではないでしょうか。
禅宗の座法で「上虚下実」という言葉があります。腰や足にしっかり力が充満していて、上半身は脱力して力みがない、という意味ですが、上虚下実の状態が保てると身体が安定して疲れにくくなるそうです。
ふわふわのソファやリクライニング式の安楽椅子で休むより、上体の力みが抜けて安定した姿勢を保持できるクロワッサンチェアのほうが座っていてリラックスできる、かもしれませんね!