パインサーバーテーブル
家具のお話

パインサーバーテーブル

広葉樹に比べると若干強度が劣るパイン材にも関わらず、まるで広葉樹で作ったと思われるスリムな脚。そして、それを補うように取り付けられたH字の「つなぎ」と貫。パイン材はカントリー家具に多く用いられ、都市部というよりは田舎で使われていた印象だが、洗練され、デザイン性に優れたこのテーブルはいったいどういう用途と経緯で作られたのだろう。その謎に迫っていきたい。

 まず目を引くのがテーブルの四辺に取り付けられたこぼれ止め。丁寧にグルーヴが彫られたこぼれ止めはデザインのキーになるパーツだが、こぼれ止めが付いた構造だと食事の時には使いづらいので、ダイニングテーブルではないのは明らかである。

H字型の「つなぎ」と貫は作業テーブルの補強用パーツの典型なので、農作業の時のためのワークテーブルという可能性もある。ただ、負荷がかかるワークテーブルの足をわざわざ細くしてデザイン性を高めるだろうか。作業用のテーブルだったらなるべく脚を太くするはずである。実際に脚が太いパイン材のワークテーブルは多く見受けられる。

その他、こぼれ止めがあるのでテーブル同様デスクにも使いづらく、コンソールテーブルやサイドテーブルにしては大きすぎる…

 というわけで考えられるのがサーバーテーブル。カントリーハウスで食事の補助用に用いられた、というのが目算である。もしかしたら食卓用だけでなく、寝室で洋服、バスルームでタオルなどを載せたり、玄関ホールで花や陶器でデコレーションしたり、場所を選ばずに使われていたのではないか。それだとこぼれ止めが付いているのも納得だ。作業用ではなく住宅で使うので、デザインを重視するために脚を細くしたのだろう。

剥がれかけたグリーンペイントがちょうどよい具合にアンティーク感を演出している。グリーンにペイントされていたのはどういう理由なのだろう。オーナーの好みで作業の合間に塗ったのかな、などと想いを巡らせるのも楽しい。

天板は利便性を考えて艶消し水性ウレタンで塗装し直した。よってワックスの手入れなどが不要。食卓だけでなくキッチン周りでも有効に使えるようになった。

高級家具のようなシルエットのパインサーバーテーブル。クラシカルなインテリアのアクセントとして、または、カジュアルな空間のスタイリッシュな演出に、いかがだろう。

※テーブル上のディスプレイ小物とスツールは非売品になります。